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自分の目指すものが見えた瞬間

先週は私の働いている学校で第二外国語歌唱コンテストがありました。
こちらから生徒たちの素晴らしいパフォーマンスが見られます。ぜひご覧ください。

今年三回目になる第二外国語歌唱コンテストでしたが、すごく感動もしたし興奮もしたんです。それはなぜかというと、一人一人の学生が自分の殻を破り自分を表現しようとして、そしてそれを楽しんでいたように私の目に映ったからです。ビデオを見られた皆さん、もしかしたら、ここに出てくる生徒は、みんな優秀で特別な学生だとお思いになるかもしれません。そしてビデオに出てくるのは一部の優秀な生徒だけなのかもと。でも違います。普段から知っているから私からすると皆普通の中学三年生です。おとなしくて引っ込み思案の生徒、消極的で強く命令されないと動こうとしない生徒、学校のイベントには文句を言ってあまり熱心に参加しようとしない生徒、協調性のない生徒などなど、このなかにはいます。でもそんな姿はビデオから想像できないですよね。そして、このビデオには9年生すべての学生のビデオがここにあります。特別優秀な生徒の部分だけを取り上げているわけでもありません。(一人だけ公開をして欲しくないという生徒がいたので、そのビデオだけありません。でもそのパフォーマンスも素晴らしいものでした。)

普段からは想像できない姿を見せる生徒たち

ステージ上の彼らは本当に違いました。普段はおとなしい生徒も音程外すことを恐れず、大きな声を張り上げて歌を歌っていました。授業や学校のイベントにいつもダラダラ参加するような生徒は会場を盛り上げ、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。私の知っている限りでは、少人数でステージに上がった経験のある生徒は半分以下だと思います。そんな生徒たちが200人以上の観客の前で堂々と歌を披露したんです。それを感動するなという方が無理な話です。

そしてこれも信じてもらえないかもしれませんが、このステージに上がった生徒の半分はまだ3カ月足らずしかその言語を学んでいません。そして準備期間は一カ月半程度です。その一カ月班の間にグループを作り、曲を決め練習したわけです。週100分の授業の時間のうち、少しだけ練習の時間を分けてあげたとはいえ、それだけでは足りないでしょうから、自分たちで練習していたのでしょう。信じられますか。そんな状況で歌詞を覚えて歌を練習して、ステージで歌を歌うんです。

この歌唱コンテスト、私は最初、生徒たちは童謡のようなゆっくりで簡単な歌を歌うのではないかと考えていました。または生徒たちがどの歌を歌うか決めかねて私に聞いてきたら、歌うのが簡単な歌を教えてあげようと思っていました。でも、実際生徒一人一人は自分の歌いたい歌があって、それをグループの中で話し合って、歌う歌を決めていました。そこには歌いやすいとか簡単という考えは全くなく、「好きだから、これを歌いたい」という気持ちしかなかったようです。

では、生徒たちの「不可能な任務」を可能した原動力はなんだったのでしょうか。それは、好きなものへの情熱と、なりたい自分の姿への渇望なのではないかと思います。そしてその情熱と渇望に加え、ある程度の自由度と明確なルール、そして生徒たちの多数が生む雰囲気があの素晴らしいステージを生み出していったのではないのかと思います。あと忘れてはいけないのは他の授業で培ったものです。

私がつくりたい学びの場は、、

そこで改めて思ったのは、自分が行いたい授業の方向性はこれだということです。生徒たちが情熱を持ってのぞみ、なりたい自分を投影できる授業のデザイン、そして自分の殻を破っていき、新しい自分をどんどん発見していくことができる授業、授業というか学びの場がデザインできるようになりたいと強く感じました。

勝ちに不思議な勝ちありと言いますが、今回うまくいった部分は私が理解していない、もしくは私が知らない背景などがたくさんあります。この歌唱コンテストでさえも同じように来年できるとは限りません。でも、自分の予想をはるかに超えて生徒たちが成長していく姿、これからも見ていきたいのです。そのためには授業のデザインというのを、もう一度考えてみる必要があるようです。そしていつか、生徒たちが成功も失敗も経験しながらどんどん新しい自分を見つけ、成長していけるような授業ができるようになればいいなと思っています。できれば日本語も絡めながら、、(^^;;

追記

この歌唱コンテストの振り返りをしている時、ある生徒はこの学校に来なければ絶対ステージで歌を歌うことなんてしなかったと言ってくれました。生徒が自分で新しい扉を開いたと実感できるような経験ができたことは、その生徒がそれだけ頑張ったからです。でもその小さなきっかけを作った私たちはそんな言葉を聞くと本当にうれしくなるのです。

コーヒー一杯分のご支援を

ご支援いただけると様々なICTによる実験が捗ったり、生徒たちのお菓子が増えたりします。😃

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