翻訳 translation

授業で得られる達成感は日本語によるものじゃなくてもいいじゃん

こんにちは、阿部です。最近はずっとICT関係のビデオやブログの記事が多いので、すっかり私はICTの人と思っている人も多いかも。でもICTは結局私の特徴の一つであって、私がこの仕事をやっている上で一番大切にしているところではないんだよね。
私が大切にしているところって言うとやっぱりみんなで楽しむと言うこと、面白いことをすること。お前、何やってるんだって話になるかもしれないんだけど、単元でもイベントでもレクリエーションでも楽しさと学びの結びつける、そして生徒たちが自分で楽しく学んで、その成果を私に見せてくれるっていうのが最終目標なのかな。まぁそのバランスが難しくて、まだまだ試行錯誤中なんだけど。

最近の無茶振り(大袈裟か?(^o^;)

とは言えICTのおかげで私は授業の内容を考える時間がすごく増えてて、それでおかしなことを考えたり、生徒にむちゃぶりしたりしているのですが、今回多いついたこと、それはこれです。

中国語があまりできなくても通えるかもしれないカルチャースクールの講座を見つけて我々の街に住んでいる日本人に紹介しようと言うもの。これが単元の総合評価のための課題。これって面白いのは(自画自賛)多分学生がEメールや電話で実際にカルチャーセンターに聞かなきゃいけないってところ(もちろん彼らの母語でですよ)。この課題、ふつうに台湾の学生に出したら、ほとんどの学生がこの講座だったら中国語ができなくても大丈夫だろうとセルフジャッジして課題を制作すると思う。うちの生徒も普通に、じゃこれにしようかなって紹介する講座を決め始めていたので、なんで問い合わせないのって聞いたら、みんな「え?」ってキョトンとしていた。

さて私の指摘に納得して、質問することにしたようなんだけど、そこは台湾の中三、恥ずかしがって電話やメールをしようとしないグループもあった。おいおい、もう中三なんだし母語でやるんだから大丈夫だろうと心のなかで思いながら見守っていると、あるグループはじゃんけんに負けた生徒がメールを書くことにしたらしい。そこで、アドバイスしないのは何なので、(多分ちゃんと聞き入れられないとは知りつつも)趣旨を書いて明確に質問しないと、キミらが望む答えは得られないよというのを伝えた。生徒たちは、「はいはい」と、空返事を返した後、ササってメールを書き送信したのだけど、その様子を見た私はニヤリって心のなかでほくそ笑んだね。生徒たちがいい失敗をする予感がしたから。(ここで私のやることは失敗しないように命令することではなくて、失敗しても大丈夫なように考えておくことだと思ってる)

小さい挫折と小さい達成感+経験

数日後メールが帰ってきたのだけれど、それは私が危惧したとおり(期待?)生徒らが期待したものではなかった。それは「外国人向けのコースは開講していません」とそっけない返事だった。別に生徒らは頭の悪い生徒ではないし、母語に問題があるわけでもない。ただ恥ずかしいやら面倒くさいやらで丁寧にメールを書かなかったのと、相手の立場に立ってものを考えられていなかっただけなんだ。それから経験も足りないかな。台湾の生徒って中学高校の間はだいたい先生や保護者が何から何まで準備してくれるからね、仕方がないことでもあるんだ。それから、相手のカルチャースクールの人だって別に悪気があるわけでもないよね。

相談してきた生徒に対し、上のことに加えて、じゃんけんで決めたことを指摘し、人任せの危うさについて説明したあと、どうするか尋ねると、もう一回一人一人電話で問い合わせるとのこと。じゃ頑張ってと背中を押すと、生徒たちはまた色々調べ始めた。しばらくすると、ある生徒が外に出ていいかと聞いてくる。なぜ?と聞くと電話するからとの返事。別に中でもいいじゃないと言う言葉が喉まで来たが、知らない人と電話をしている様子をクラスメートや先生に見られるのが恥ずかしいんだろう。「いいよ」ってニコって笑うと安心した様子で外に出ていった。4分ぐらいだろうか、教室に戻ってきた彼からは小さいながらも何かやり遂げたという気持ちが表情から窺えた。笑ってはいけない(微笑ましいのはあり)彼にとって、これが初めての経験だったのかもしれない、いやきっとそうだったに違いない。これだけでも、この授業やった価値があったと思った私は”日本語教師”としては失格かもしれないけど、何かを経験させる存在としては合格なんじゃないかな。
それはともかく、その後また微笑ましい出来事が。その電話して帰ってきた生徒になんて質問した?って聞き始めた生徒がいたということ。

生徒A
生徒A

ねえねえねえ、さっき電話したよね。最初なんて言った

生徒B
生徒B

自分が誰だって言ってから、こうこう言った

生徒A
生徒A

え?じゃそれからなんって言った?

生徒B
生徒B

それから、あーだらこーだら

こんな話をしていた。その姿は微笑ましさを感じさせると同時に、何かを必死に学び取ろうとする姿勢を感じた。その短い間のやり取りは私が「あーだら、こーだら」何かを説明するよりも、ずうっと何倍も良い学びになったのではないだろうか。そして、その後外に電話をかけに言った彼も、教室に戻ってきたときにこやかな表情をしていたのは言うまでもないですよね。さて、生徒たちの作品は来週完成する予定で、これも大切なんだけど、もうすでにみんなは大切なことを学んだんだろうな。振り返り、うまくやらなくちゃ。

できるだけ現実に即した課題を作る授業づくり

私のクラスの単元、もちろんできるだけですけど、基本的に現実に即して作品を作ってもらうようにはしています。そうすれば、阿部がタワゴト言っておかしなゲームのルール作っていると思われないでしょ。そしてそのルールに合わせてやっていることの意味も感じてもらえる。
それから、日本語以外のところで成功しても失敗してもいい作りにしているかな。成功するのはその生徒にその部分が足りているから、失敗するのは足りていないからってだけなので、いくらでも失敗しなさいと言ってあるし、そこは成績に影響しない、もし指摘されても最後まで修正できなければ成績に影響するって感じかな。そこで成績かい?ってツッコミも入るけど、そこは「悲しいけどこれ現実なのよね」という言葉を君に贈ろう。

自分の目指す授業は、おもしろい授業ではあるけど、別に楽って言うわけではない、おそらくやってる事は多分苦しいし面倒くさいし大変、でも夢中になったり楽しいって思うことで結果的に苦しいと思わない、いや時々思うかもしれない、でもやってしまう。そんな授業を目指しているし、それが自分が一番大切にしていることなんです。

最後になりますが、学生が作ったものは多分公開すると思うので、こうご期待って感じです。それからシェアしてあげてくださいね😉

コーヒー一杯分のご支援を

ご支援いただけると様々なICTによる実験が捗ったり、生徒たちのお菓子が増えたりします。😃

日本語教育
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