新学期が始まりました。新しく中学一年生が明道中学国際部に加わり、また賑やかになってきました。
さて彼らのうちの一部が日本語を履修したわけですが、今回は新しいチャレンジを始めたということはツイッターでも書きました。さて、それはどんなことなのでしょうか。
今までは新しく日本語を学び始める中学一年生に対しても最初から日本や日本文化、日本語のみにフォーカスを当てて授業をしてきましたが、今回はもっと第二言語を学ぶ意味や日本語以外のスキル、センスなど他のことにも着目しながら授業を進めていきたいと思っていました。というわけで今年度入学した新入生が受ける日本語クラスの二回目はこう始めました。
アクティビティのテーマは「ひらがなやその発音からイメージできる10の学習者像とはどれか」
(10の学習者像はなんぞやという方はこちらのリンクからどうぞ。すごく簡単にいうと国際バカロレアの教育が目指す学習者像で、探究する人、心を開く人、知識のある人、思いやりのある人、考える人、挑戦する人、コミュニケーションができる人、バランスのとれた人、信念をもつ人、振り返りができる人の10あります。)
このようなアクティビティをした目的ですが、日本語スキルに対するものとして、まず最初の段階、他に情報があまり入っていない状態で、日本語の発音全体やひらがなの形状を何かイメージしながら一つ一つ確認してもらいたかったということがあります。
また、日本語スキル以外では感覚の言語化、または「このクラスでは答えのない課題にも積極的に取り組んでいくし、そのためにしっかり考えていく。そして、そのような場合に起こる人と人との考えの違いを受け入れてほしい」ということを生徒のみんなに感じてもらいたかったというねらいがありました。
私って新しいものにチャレンジする時は、いつもそうなんですが、なにかとんでもなく的外れなことをしているかもという不安を抱えながらですが、授業の準備をしていました。(ちなみにこの文章を書いている時もそうです(^^;;)
授業の流れ
- 日本語の発音とひらがなを紹介する(練習などはなし)
- 表を見て自分の好きな発音、好きな形状のひらがなを探し、理由とともにグループ内でシェアする
- 日本語の発音やひらがなの形状を観察し、どの文字またはどの発音が10の学習者像のどれに当たるか考える
- 一人一人その文字とポスターを作成し、その下に理由も書く
- それをクラスメートに発表する
こんな授業はあまりしたことがなかったものですから、最初はかなりのドキドキものでした。※「どうしてこんなことしなきゃいけないんだ」と言って真面目に書かなかったり、「そんなのわからない、できない」と言って諦めてしまう生徒らも出てきてしまうかもしれないというのが一番恐ろしいことでした。結果としては皆、一人一人しっかり考えて(数秒で適当に描いた子もいましたが、はやく書くも一つの才能かなと思い、もう一枚描いてもらいました(^^;;)素晴らしい作品を見せてくれたのでホッと一息というところです。
こちらにリンクを置いておきますので、ぜひご覧ください。そして、もしよかったら、コメントや「いいね」もしてあげてください。
振り返り
うまく言った理由としては、部門全体がそのような授業をしているということ、また私自身も答えのない問題に対して考えることは大切かということを、その前の授業で問いかけていたことなどがあるかと思います。それから単に白紙を与えて作品を書かせるのではなく、額縁が書かれた紙を配ったことで一つの芸術作品を仕上げるというイメージが作りやすかったかもと思っているのですが、どうでしょうか。
反省点としては、話が盛り上がったり、作品に予定よりも時間をかけたいという声が上がったりしたせいで、振り返りする時間が残らなかった、作品を壁に貼ってコメントを書いてもらうなどの活動もすればよかったなどがあります。
ひらがなの形と音を確認してもらいながら、選んでもらいたかったのだけれど、パッと見てパッと答えた生徒が数人いたので、今度は文字と発音の横にチェックボックスなどを置いた配布して、一つ一つよく確認してもらえるようにした方がいいとも感じました。
最後に
最近は様々なことを日本語クラスで学んでもらえるように、そしてそれが日本語のスキル上達の妨げにならないように、どうしたらいいのかということに頭を悩ませています。どんどんたくさんの人や本から学びそれを自分の授業に取り込んでいくこと、また今まで自分でしていたことを違う角度から再構築してみることなど、頭の痛い課題ではありますが、チャレンジしていきたいと思っています。そしてブログやツイッターを見てくださる皆さんのご意見もとても参考になりますので、ぜひ疑問感想をお寄せください。あ、それからすごく励みになります。
おっと大切なことを忘れていました
今回の授業は高知国際中学の佐野先生の授業を見学させていただいてから得たもの、また八月末にナレッジキャラバン in 大阪にてご一緒させていただいた阿部富子先生に聞かせていただいた臨床美術のお話からヒントをいただきました。お二人には感謝の言葉もありません。ありがとうございました。
皆さん、このお二人どんな方か気になるでしょう。お二人とも本当に素晴らしい先生です。このお二人の人となりを知るヒントになる記事が下のリンクから読めます。
ぜひこちらもどうぞ。
高知国際高校の佐野先生へのインタビュー記事はこちらから
https://www.kochike.pref.kochi.lg.jp/~top/matome/?p=26501
阿部富子先生が書かれた記事はこちらからご覧になれます。
https://knowledge-caravan.com/pastandfuture
※いつも「日本語のこれこれが言えるようにこれする」や、いいところ「日本語でこの目的が達せられるように〇〇する」ぐらいなもので、どうして第二外国語を勉強するのかなどのような問いの答えになるような活動はあまりしてこなかったのです。
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