いろいろあって今学期から「まるごと」の「かつどう」を教科書として使い始めたわけですが、思った以上に学生の反応が良かったというのをツイートした結果、興味をもたれた方がいらっしゃったので、これから何回かに分けて気が付いた点を書いていこうかと思います。
私が「まるごと」を使用している環境は以下のような感じです。
対象:台湾の中高生(私立)
コース:第二外国語、必修科目(仏西日語の中から一つ選択)
学生数:8人から20人
環境:プロジェクター使用、座席はㄩの字型に配置
授業数:週2コマ、1コマ50分
学生の90%は将来欧米の大学に進学希望
「知りたい」という気持ちを引き出す教科書
「まるごと」の「かつどう」は、アイスブレイク+CanDo確認のあと、立て続けにトピックに合わせた様々な情報を見せたり聞かせたりします。これらに対して学生は「何を話しているんだろう、何が書いてあるんだろう」と興味を持ったようです。そして質問するという方法で教師から情報を引き出そうとしました。これは文型に関しても単語に関してもです。質問が見つけられる学生は積極的に質問していき、質問できない学生は他の学生の質問と先生とのやりとりを見て情報を仕入れます。
この時点で以前の私の教え方と全く違います。以前単語はフラッシュカードで導入、意味や用法を確認して、それから次に進みます。ではなぜここでこれらの単語を提示するのでしょうか。これらの文型を学習する際に使う言葉だからです。この理由は学生にとって意味のあるものでしょうか。教師としては単語を習わなければ次の問題解決や表現能力としての文型を習えないでしょうと言いたいところですが、それは私の都合です。
文型であれば、こんなことあったらどうやって解決しますか的な話をしながらそれらを学ぶことの意義を学生にほのめかしたり説明したりしてきました。でも単語からは難しいです。
「かつどう」では、会話を聞いてその中に出てくる言葉を聞いたり、教科書に載っている文字や写真などを見たりして単語を学んでいきます。たくさん聞くことや意味を類推することは非常に高い学習効果があるでしょう。学生の勘違いや質問すべきことを質問しないなどの問題は教師がキューを出し修正確認することができるでしょう。
受け身ではない授業
これらの学びは学生が受け身になっていないということを感じていただけるでしょうか。学生は知りたいと思った言葉を学んでいきます。もちろん今までも楽しく楽に語彙を増やしてもらいたいと思い、また工夫もしてきました。でも学生から「じゃこれは何ていうんですか」と教科書に出ていない単語を質問されることはあまりありませんでした。(1)
それからはっきりとここまでは文型これからは単語という区切りがないまま先に続きます。次の会話では単語と状況からほとんどの学生は文型の意味を類推していたようです。一人の学生が文型の意味を質問した時、もう一人の学生がさっと答え、他の学生がそうそうとうなずいていましたから。(2)
学生を後ろからサポートするという授業形式
授業の間、教科書や音声上で繰り広げられるコミュニケーションに学生たちは駆け足でついていこうとしていました。教師である私は転んでしまった学生は質問に答えるという方法で起こしてあげ、明後日の方向に走っていこうとする学生にはキューを出すという方法で向かって行く先を示し、褒めるという方法で応援しました。この感覚は今まであまり得ることのできない感覚でした。今振り返ってみると以前の授業は、教師の私は遠いゴールにいて、そこから学生にこっちにおいでと呼びかけているといった感じの教え方だったんじゃないのかなと思います。
正直に言うと「かつどう」の教科書を使う前は面白い授業にならないんじゃないかって本当に心配したんですよ。台湾の学生は受け身の学生が多いし、子供なので情報の引き出しもそれほど多くない、だから話が盛り上がらず淡々と授業が進んでいってしまうのではないかと。教案書いている時点であまり面白くならないかなと。でもそれは杞憂でした。教案の行と行の間は学生がたくさんのもので埋めてくれて、授業を素晴らしいものにしてくれました。
まだまだこの教科書に対する理解が深くないので、もっとブラッシュアップする必要があるなと感じていますが、これが一回目の授業後の感想です。
さて実はこの教科書を使って感じたことは山ほどあります。冒頭にも書きましたが、これから何回かに分けて書いていこうと思います。
いつものことですが、皆さん是非ご意見お聞かせください。
(1)A-1L15では ビールの会社の写真を見て◯◯◯はなんていうんだって質問がすぐ出てきましたし(^^;;
(2)質問が出なければキューを出して確認するところですね^ ^
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