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反転授業についての雑感

つい先日、反転授業の効果についての記事を見かけた。

http://seii.mit.edu/research/study/effects-of-the-flipped-classroom-evidence-from-a-randomized-trial/

まあ、ざっくり言うとあまり効果がなかったという話だ。私自身は反転授業やブレンド型に対しては肯定的な立場だけど、単純にそれらを行えば学習効果が上がるとは考えていない。では、なぜ反転授業やブレンド型を取り入れたのかといえば、いろんな理由はあるが主なものは以下の二つだ。

反転授業やブレンド型を取り入れたい理由

一つ目は学生の自律学習能力を伸ばすため。大人が対象の時は教師である私が全てお膳立てして授業をしてても良かったのかもしれない。でも中高生に対して授業をしている時につよく感じることがあった。それは学生たちが全てを教師にまかせっぱなしだということ。よくいえば頼られているともいえるだろうが、もし彼らが将来自分で日本語を学びなおしたいと思った時のために自分は何かしていたのだろうかとも思った。学生の学びの全てに教師がタクトを振るうというのは学習者の自律学習能力が伸びない一つの原因だと思っている。そして、反転授業またはブレンド型は一部の時間を学生自身に任せることができ、それらの時間は自律学習能力を伸ばすチャンスになりうるということは強く感じている。

もう一つは、現実問題として存在する教室内のレベル差に対処するため。一斉授業はどうやっても、一つの教室で一つのレベルにしか授業は行えないが、それに対してブレンド型というのはうまく回すことによって、二つもしくは三つのレベルに教室を分け、自律学習や全体授業、共同作業などを行うことができる。つまり、より一人一人の学生にあったレベルでの学びを提供しやすくなる。これは一斉授業にはできないことだ。

反転授業自体が授業をよくするのか

他にもいくつか理由があるが、反転授業やブレンド型を行うことによって学習効果が上がるということはあまり期待していない。ある人は反転授業は学生を選ぶなんていう話をする。確かに「反転授業すれば学生は生き生き学ぶ」なんていうのは一斉授業に飽き飽きしていて、初めから自分で学んでいくモチベーションとスキルを持っている学生がいるクラスが多いのではと密かにそう思っている。元からやる気がなくて学ぶためのスキルがない学生に反転授業などさせても、効果が上がるとは思わない。ぼけっとビデオを見て、全体授業でも身が入らないなんていう状況は容易に想像できる。

だから、反転授業やブレンド型を行いたい人は注意してほしい。何が目的で何を達成したいのかはっきりしないときや、それが学生たちが望まないもののときは、反転授業やブレンド型は成功しいくいと思う。当たり前なことだけど、いいビデオ教材と反転授業でなんて聞くと意外に気づいていない人って多いのかもと思う。 付け加えると反転授業は学生を選ぶとは思っていない。きちんと走る目的を一緒に考えてあげて、その学生にちょうどいい走る時の注意点を付け加えてあげれば、どんな学生に対しても反転授業は成功する可能性があると思っている。

だから私は反転授業は効果がないという話を聞いても、きっとこの先もブレンド型にも挑戦していくだろう。もちろん、学生の顔を見て決めていくんだろうけどね。

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